ファクトリーブランド成功事例〜バーミキュラでフライパンを買った話〜
先日、プライベートで「バーミキュラビレッジ」へ行ってきました。
半分日記なのですが、いろいろ気づきがあったので、ここに書き留めておきたいと思います。
実店舗にて商品を買いたくなるまでの導線設計、戦略が上手だなあというお話です。
小売店、実店舗を運営されているお客さまもうちにはみえるので、少しでも参考になれば嬉しいです。
目次
バーミキュラとは
いわゆるファクトリーブランドというのでしょうか。名古屋の町工場、愛知ドビー株式会社さんの展開するブランドです。
「誰にでも簡単に素材本来の味を生かした美味しい料理が作れる」というコンセプトで開発された「鋳物ホーロー鍋」が大ヒットしました。
テレビ等のメディアでもとりあげられているので、ご存知の方もみえるかもしれませんね。
バーミキュラビレッジとは
今回、僕が訪れたバーミキュラビレッジは、そんなバーミキュラの発信拠点。
もちろん商品を手にとって買えますし、ダイニングやベーカリーカフェなんかも併設されています。
「バーミキュラ ビレッジ」は、「最高のバーミキュラ体験」をテーマに“バーミキュラの料理の美味しさ”・“バーミキュラブランドの世界観”・“メイド・イン・ジャパンのものづくり”を様々なかたちで体験できるブランドの発信拠点です。
場所は、中川区の運河沿い(山王と黄金の間くらい)にあります。
名古屋以外の人に向けてご説明すると、商業地ではなく工場の多いエリアです。愛知ドビーさんもすぐ近くにあります。
名古屋駅から車で10分くらいの場所ではあるのですが、誤解をおそれずに言えば、名古屋に住んでいる人でも、あまり行く機会のないエリアです。
ファクトリーブランドだから、運営会社の近くだから、と言えば、そうなのかもしれませんが、この立地についてのおもしろさも、後述しますね。
今回のお目当ては、看板商品である鋳物ホーロー鍋ではなく、フライパン。こちらも「素材本来の旨みを凝縮するフライパン」として、納期数ヶ月待ちの大人気商品のひとつです。
毎日僕のために美味しい食事を用意してくれる妻の誕生日プレゼントにどうかなあと思い、デートを兼ねて実物を見に行ってみよう、という経緯で訪れました。
一般的な実店舗の役割
一般的に実店舗では「ネットでは伝わりにくい“商品の良さ”を知ってもらう」役割を期待しているように思います。
そういう意味では、バーミキュラのフライパンは逆で、手にとった瞬間、デメリットである「重い..」が先に立つ。看板商品であるホーロー鍋も例外ではありません。
まずここがおもしろいと思いました。
ネットだとピンとこない「重さ」というスペック。
そういう意味ではネットで売った方が、デメリットがわかりにくく、実は売りやすいのかもしれません。
もっと言えば、ネット販売のみに特化する、というやり方だって考えられます。
それでも結果的に、フライパンが欲しくなり、を買って帰ることのなるのですが、そこまでの心理的な流れが下記になります。
フライパンを買いたくなるまでの流れ
早速フライパンを持ってみる。
↓
(重い‥ 女性は使いにくいのでは‥)
↓
(安くて軽いフライパンなんて他にもたくさんあるよなあ‥)
(たしかにかっこいいい良い商品なんだろうけど‥ うーん‥)
↓
そんなときに、試食を進められます。
「こちらバーミキュラで無水調理したミネストローネです。いかがですか?」
↓
‥美味しい。
↓
さらに「せっかくきたんだし、併設されてるお店でランチしていこうか」となる。
↓
やっぱり美味しい。
食事をしながら妻と作戦会議。欲しいけど‥ やっぱり重さが気になるなあ。
↓
食後にフライパンをもう一度手にとってみる。
↓
店員さんにどちらが良いのか、違いなどを聞いてみる。
(この頃には完全に“買うための理由”を探し出している)
↓
「このレシピどおりやれば、フライパンを振る必要もないので、女性でも問題なく使えますよ!」
↓
ネックになっていた重さがこの時点で解消される。
つまり、買わない理由がなくなる。
↓
「これください‥!」
こうして文字に書き起こしてみると、いい意味でまんまと戦略にはまった感じがします。
僕が単純なのがバレてしまいましたね。
上手なやり方だと思ったポイント
他にも上手なやり方だなあと思ったポイントなんかを、簡単にまとめておきます。
取手交換できる・メンテナンスできる
フライパンはそう何度も買うものではない。ただ、メンテナンスでも売上がたつ仕組みになっている。
レザーのバッグや財布に近いイメージ。
食事もしていきたくなる条件が揃っている
試食して美味しければ、もっと食べてみたくなるもの。
しかしこの周辺には飲食店はほとんどない。ランチのためだけに名駅まで移動するのも面倒。
「せっかくだしここで食べよう」と当然なりやすい。
また、美味しいお店はたくさんあっても、バーミキュラでつくった料理を食べれるお店はない(あっても知らない)。つまり競合がいない。
行列をつくるのがうまい
パンは買うときにしかメニューがわからないので、並んでいる間に買う物を決めておくことができない。
オペレーション的にはとても非効率。効率的にまわしたとしても席数にも限りがある。
よって、自然と行列ができやすい。
並んで食べればより美味しく感じられるし、お店沿いの通りから見れば、行列のできる人気店、という広告効果もある。
立地
栄や名駅とは違って、よくくるエリアではないためランチ以外でも「せっかくきたんだし」という心理が働きやすい。
後悔するほど値段が高いわけでもなく「だったら一回買ってみて使ってみようよ、ネットで買うより早く送ってもらえるみたいだし」という心理になりやすい。
もし名駅や栄にあるお店だったら「今日じゃなくてもいいか」となりがち。
同じ名古屋市内に住んでいる僕でもそう思ったので、県外の人とかはよりそう感じるのではないかと思う。
(駐車場を見ると県外ナンバーの車が多く目に付いた)
ワークショップ
加えて料理教室などのイベントも充実している。
フライパンやホーロー鍋で、より料理するのが楽しくなった人や、好きになった人に向けた受け皿が用意されている。
ちなみに、Youtubeの公式チャンネルでも、「毎日のお料理がもっと楽しくなる」をコンセプトに、専属シェフがバーミキュラレシピを紹介。
VERMICULAR CHEF’S CHANNEL
https://www.youtube.com/@vermicularchefschannel8867/
ここで買う理由づくり
ただの実店舗ではない、まさに体験できる発信拠点。
ここで買う理由が張り巡らされていて、買わない理由をなくす。
すごく考えられていて、そりゃ人気がでるわけです。
Webサイトとは直接関係ないお話が多いように思われたかもしれませんが、実店舗はもちろん、Webサイトであれなんであれ「商品を売る」という、どんなビジネスにおいても通づること。
基本でもあり、とても大切なこと。
そういう意味でも、バーミキュラはとっても素敵なブランドでした。
フライパン届くの楽しみだなあ。
2006年よりWebサイト制作・運用に携わる。2012年アットノエル創業。 個人事業主から上場企業まであらゆる業種のWeb活用を支援。 主にWebサイトの企画や運用サポート、お客さまの相談役を担っています。
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